古くから「お伊勢参らばお多賀へ参れ」と謡われ、伊邪那岐大神(いざなぎのおおかみ)・伊邪那美大神(いざなみのおおかみ)を祀る滋賀県の第一の大社、多賀大社。
1300年以上の歴史を持ち、年間約160万人の参拝者が訪れる多賀大社では、時代に合わせた柔軟な取り組みを行っています。
古くから続く多賀大社を篤く信仰される崇敬者の会「多賀講(たがこう)」の高齢化や会員減少という課題に対し、多賀大社では「Web申込システム」の導入を決断。DXのパートナーとして、プリムスクリエイティブがご支援いたしました。
Web申込システムの導入は単なるデジタル化ではなく、伝統を大切にする世代と、若者世代の双方をつなぐためのハイブリッドな取り組みです。
なぜ、数あるITベンダーの中からプリムスクリエイティブを選んでいただけたのか。そして、導入によってどのような変化が生まれたのか。多賀大社のご担当者である、瀧澤憲興(たきざわのりおき)様にお話を伺いました。

話し手:多賀大社 瀧澤憲興様
聞き手:株式会社プリムスクリエイティブ 谷宏樹
時代の変化とニーズに合わせた、お客様ごとの提案
谷:今回弊社にご相談いただくきっかけについて、改めてお聞かせいただけますでしょうか。
瀧澤様:ご存知の通り、多賀大社は1300年以上の歴史があり、私たちが大切にしている崇敬会「多賀講」も約540年という長い伝統を持っています。
かつては地域ごとのつながりが強く、親から子へ、子から孫へと「縦のバトン」で信仰が受け継がれてきました。しかしながら、戦前には30万ほどあった講員数も、20年前には5万、そして現在は2万5000を割り込むなど、減少の一途をたどっています。
谷:地域社会の変化や少子高齢化の影響は、やはり大きいのですね。
瀧澤様:そうですね。過疎化が進み、家を継ぐという意識が変化する中で、これまで通りのやり方だけでは限界が来ていました。一方で、今の70代前半くらいまでの方々は、Amazonや楽天などで普通にお買い物をされる世代です。若い方はもちろん、スマホやPCは当たり前のツールになっています。
それなのに、私たちの入講方法は「手書きで郵送」や「電話」といったアナログな手段ばかり。これでは、せっかく「お多賀さんとご縁を結びたい」と思ってくださる方の気持ちを、手続きの面倒さで削いでしまっているのではないか。そうした“機会損失”への危機感が、ご相談した一番大きな理由です。
谷:時代の流れも踏まえた課題感をお持ちの中で、弊社にご依頼いただいた決め手は何だったのでしょうか?正直なところ、ITベンダーは他にもたくさんありますよね。
瀧澤様:実を言うと、最初は「誰に相談していいのかさえ分からない」状態だったんです。40年近くお付き合いのある基幹システムの会社さんはありましたが、今回私たちが求めていたのは、大規模なシステム改修ではなく、もっとユーザー目線で、Webを通じて気軽に入講できる仕組みでした。
そんな時、メインバンクである滋賀銀行の支店長代理さんから「一度会ってみませんか」と、プリムスクリエイティブさんを紹介されたんです。
お会いして感じたのは、私たちのことを第一に考えてくださるということです。多くの業者さんは、まず自社のパッケージ商品やサービスありきで、「このサービスを導入すれば解決します」と提案されることが多いんですよね。
しかしながら、プリムスクリエイティブさんは違いました。私たちの漠然とした悩みや、予算に応じた機能面の相談に対しても、まずはじっくり耳を傾けてくださいました。
谷:ありがとうございます。私たちとしても、いきなり大きなシステムを作るのではなく、お客様の状況に合わせた効果の高い方法を探るのが一番だと考えています。
瀧澤様:私たちのニーズをヒアリングした上で、一からシステム開発をするのではなく、既存のフォーム作成サービス(フォームメーラー)を活用し、そこに決済機能(PayPal)を組み合わせるという、安価で小回りの利く提案をしてくださいました。
売りつけるのではなく、一緒に解決策を考えてくれる姿勢に信頼を感じ、お願いすることにしました。
Web申込で新規入講数が倍増。DXによって生まれた「余力」の使い道
谷:実際にシステムを導入されて、どのような変化がありましたか?
瀧澤様:数字としてすぐに表れたのは、新規入講者の増加です。これまでは、ホームページを見ても入講手段がアナログだったため、年間20人程度しか新規の入講がありませんでした。それが、Webフォームを導入してからは約40人と倍増しています。
「たった20人の増加?」と思われるかもしれませんが、減少傾向にある私たちにとっては、非常に大きな一歩なんです。これまでご縁がなかった方や多賀信仰が根づいていない地域の方々が、スマホ一つで気軽に入講してくださるようになりました。
谷:数字としても大きな変化が生まれていますね!事務作業の面ではいかがでしょうか?
瀧澤様:劇的に変わりましたね。これまでは電話応対や届いたハガキを手作業で集計し、基幹システムに打ち込むという作業に膨大な時間を取られていました。ですが、Webフォームに変えたことで、データが自動でCSV化され、取り込むだけで済むようになったんです。
さらに嬉しかったのは、多賀大社内の他の部署にもポジティブな効果が生まれたことです。例えば、年末年始のアルバイト募集。これまでは50人以上の学生さんと電話や手紙でやり取りしていましたが、これもWebフォームに切り替え、応募管理の手間を大幅に削減できました。祭典・行事や会合出欠の確認なども、Webで行うようになっています。
谷:一つの成功が組織全体のDX意識を変えるきっかけになったんですね。
瀧澤様:そうですね。「DX=楽をする」ではなく、「DX=余力を生み出す」ことだと実感しています。事務作業の時間が短縮された分、私たち職員は参拝者様への対応や、新しい企画を考えるといった「本来やるべき仕事」に時間を使えるようになりました。
谷:お話を伺っていると、伝統を守りながらも柔軟に新しいものを取り入れていらっしゃる姿勢が印象的です。ただ、中には「デジタルは苦手」という方もいらっしゃいますよね。
瀧澤様:おっしゃる通りです。ここが一番重要なのですが、私たちはすべてをデジタルにするつもりはありません。80代以上の高齢の講員様や、デジタルデバイスをお持ちでない方には従来通りのハガキや電話での案内を継続しています。
これからの時代は「Webでできる人はWebで、できない人はアナログで」というハイブリッドの形が正解だと思っています。地域のヨガ教室のチラシを見ても「申込はWebで。できない人は電話で」と書いてあるのを見て「どちらもできるようにすればいいんだ」と背中を押されました。
Webフォームという選択肢を作ることで、若い世代や現役世代の利便性を上げつつ、そこで生まれた職員の余力を使って、アナログな対応が必要な方々を丁寧にサポートすることが、多賀大社流のDXです。

各社ごとの「やりたいこと」を伴走してくれるパートナー
谷:最後に、今後弊社に期待することや、この記事を読んでくださっている方へのメッセージがあればお願いします。
瀧澤様:プリムスクリエイティブさんは、単なるシステム屋さんではなく、私たちの「やりたいこと」を実現するために、広いネットワークを使って様々な提案をしてくれるパートナーです。
以前、リーフレット制作の相談をした時も、すぐに適切なクリエイターさんを紹介してくださいました。「餅は餅屋」で、自分たちの専門外のことはプロに相談するのが一番早いです。
谷:そう言っていただけると光栄です。私たちも、多賀大社様の「お多賀さん」としての温かさを大切にしながら、裏側の仕組み作りを全力でサポートさせていただきます。
瀧澤様:私たちのように「アナログな業界だから」「ITのことはよく分からないから」と二の足を踏んでいる企業や団体の方も多いと思います。時代の流れに合わせた対応ができていない企業さんや団体さんほど、プリムスクリエイティブさんと話をしてほしいですね。
「こんなことを相談してもいいのかな?」と思うようなことでも、まずは一度、声をかけてみることをお勧めします。話をすることで、自分たちでは考えつかなかった新たな解決策が見つかるはずです。
編集後記
1300年以上の歴史を持つ多賀大社様が、時代の変化に合わせてしなやかに変化していく姿に、深い感銘を受けました。「デジタル化」の目的は、ツールを入れることそのものではなく、働く人の時間を生み出し、お客様(参拝者様)との向き合い方をより良くすることにあります。
アナログの良さを残しつつ、デジタルの力で未来への扉を開く。多賀大社様の事例は、多くの企業にとってDXのあり方を示すヒントになるのではないでしょうか。
プリムスクリエイティブでは、お客様の業務内容や課題に合わせ、最適なツールの選定から導入、運用までを伴走型で支援しています。「何から始めたらいいか分からない」という段階でも構いません。まずは貴社のお悩みをお聞かせください。